【WB2013】大波乱の大会3日目

大会初日、ナダル初戦敗退という波乱の余波は、想像を超える大きなものとなり、この日も男女揃って優勝候補の一角だった第3シード、フェデラーとシャラポワが大会を去るという展開。しかも、大会3日目にして総勢10選手もの棄権・途中リタイア、そのうちの多くはシード勢という、近年稀に見る大波乱となってしまった今年のWB。

シードダウンした選手、および棄権・途中リタイアした選手をもう一度おさらい。

男子シングルス1回戦のシードダウン

シモン[19]
クエリー[21]
コールシュライバー[16] 途中リタイア(ウイルス性疾患による疲労)
ナダル[5]
バブリンカ[11]
フォニーニ[30]
ティプサレビッチ[14]



女子シングルス1回戦のシードダウン

キリレンコ[10]
オプランディ[31] 途中リタイア(手)
パブリウチェンコワ[21]
ペトロワ[13]
エッラーニ[5]
レプチェンコ[26]
パシェク[28]



男子シングルスBH2回戦のシードダウン

イズナー[18] 途中リタイア(左膝)
フェデラー[3]
ツォンガ[6] 途中リタイア(左膝)
ベネトー[31]
チリッチ(CRO)[10] 棄権(左膝)



女子シングルスBH2回戦のシードダウン

ウォズニアキ[9]
シルステア[22]
シャラポワ[3]
イバノビッチ[12]
ヤンコビッチ[16]
アザレンカ[2] 棄権(左膝)



ノーシード選手の棄権・途中リタイア

ギド・ペジャ 1回戦 途中リタイア(右ハムストリングス断裂)
ダルシ 2回戦 棄権(右肩)
ステパネク 2回戦 途中リタイア(左ハムストリングス)
シュベドバ 2回戦 棄権(右腕)



まず、女子シングルスですが、だいたいのところは、シードダウンもやむなし、という印象です。イバノビッチの負け方はどうかとは思いますが……(確かにブシャールは良かったけれども、第2セットSFMで緊張したブシャールからブレイクバックに成功した直後のサービスゲームで、なぜか自分で自分にプレッシャーをかけて自滅してブシャールに再びブレイクを許すというのはいただけない。そこをキープすることで、よりブシャールにプレッシャーをかけられる、まだ自分のほうが精神的に余裕があるという気持ちになれないものか)。

しかし、シャラポワがまさかここでポルトガルの絶叫娘、デ・ブリートにストレート負けしてしまうとは思いもよりませんでした。

とはいえ、1回戦のムラデノビッチ戦でも、ストレート勝ちしたとはいえ、やや苦戦した感じはありましたし(特にフォアの打ち合いでは押され気味のシーンがかなりあったと思う)、クレーに適応して多くの試合をこなしてきたしわ寄せがここで出てしまったとも言えるでしょう。今年の芝は例年に比べて長く、それが影響しているのか、滑りやすいという選手からの声が多いように、シャラポワもまた、何度も転倒する場面があったようです。

もちろん、デ・ブリートの頑張りを無視するわけにはいきません。もともとジュニアの頃から将来を嘱望されていた選手でした。しかし、ジュニアの頃は才能以上に絶叫が話題先行し、ジュニアを卒業してからはなかなかWTAツアーでは勝ち上がることができず、伸び悩んでいる印象がありました。サーブも以前に比べてずいぶんよくなっているようですし、これをきっかけに飛躍してもらいたいと思います。

アザレンカは1回戦の途中で転倒し、左膝を痛めたことにより、2回戦を戦わずして大会を去ることになってしまったのは本当に残念です。というよりも、本人が一番悔しいでしょう。靭帯が断裂したというようなことではなかったようですが、今年はまた怪我が増えているだけに、今後が心配されます。

そして男子シングルス。こちらは、アップセットはもちろん、途中リタイア、棄権組の選手もまさかの連続でした。

ツォンガはすでに練習中から違和感があったそうですが、第2セット序盤まではまったくそんな雰囲気はなかっただけに、どんどん元気がなくなっていき、最終的には試合を続行することができなくなってしまったことに非常に驚きました。チリッチやイズナーも1回戦の勝ち上がりを見る限り、ここで棄権や途中リタイアで大会を去るとは予想できませんでした。

ナダルの試合はWOWではほとんど放映されていなかったので、途中と本当に最後の数ゲームだけしか見ていません。ダルシが最後まで勝ちビビらず(エースで試合を決めましたしね)、終始素晴らしいプレーを貫いた、ということが大前提ですが、ナダルは第3セット、脚が動いていなかったそうです。

7か月もの戦線離脱から復帰してここまで5か月、言ってみれば、スケジュールを詰め込みすぎた、ということになるでしょうか。ここ何年もの間、ナダルはUSOP以降フィジカルの状態が落ちて失速、1年を通して戦うのが難しくなってきていました。復帰後も膝の不安はずっと話題に上がっていましたが、その不安を最小限にとどめて戦っていくための7か月の戦線離脱、クレーで多く試合をこなしているものの、WBまではまだ大丈夫だと勝手に自分は思い込んでいました。しかし、そうではなかったということでしょうか。

とにかく、現在の状態がどのようなものかはわかりませんが、昨季のような展開にならないことを祈ります。

最後に、フェデラー。いや、スタコフスキ。

スタコフスキの最高ランキングは31位、タイトルも4つあります。もともと芝や北米ハード、室内ハードなどの速いサーフェスを得意にしていて、ネットプレーもうまく、才能豊かな選手だという定評はありました(知らない人もいるかもしれないので、もう一度、書いておく。スタコはマレーがUSOPジュニアチャンプになったときの準優勝者です!)。しかし、今季は絶不調、いつしかランキングも100位圏外となってしまっていました。

そんな状況のなか、まさか、得意の芝とはいえ、WB2回戦対フェデラー、センターコートという舞台でキャリア最高とも言えるプレーをするとは思わなかった。いや、1試合のなかで、最高のプレーを出すことはできても、それを最後まで貫けるとは思わなかった(それはダルシにも言える)。第1セット、終盤にブレイクのチャンスがありながらもTBに入り、1セットダウンとなってしまいましたから、なおさらそう思いました。

しかし、この日のスタコは違った。

スタコはフェデラーを相手にストローク戦をしていては勝ち目はないと思った、ということで、自身のサービスゲームでは徹底してS&V、リターンゲームでも隙があればネットに果敢に詰めてポイントを重ねていきました。

S&Vというプレースタイルを貫くためには、いい1stだけでなく、いい2ndサーブも必要です。この日のスタコは、試合を通して、1stが入らなくても2ndでしっかりとポイントを獲れていた(最終的には64%に落ち着きましたが、第3セット途中までは2ndからのポイント獲得率が70%を超えていたはず)。第2セット以降、スタコにもブレイクのピンチがあったのですが、そこでいい1stサービスを入れる集中力も途切れることはありませんでした。

そんなスタコのサーブに対して、フェデラーはブロックリターンもしくはスライスでカットするリターンを多用せざるを得なかった。ここがスタコのS&Vの多くを成功させた要素になるんではないでしょうか。また、フェデラーはパッシングショットの多くをスタコのボディに集めていましたが、これもまた、ネットにつくタイミング、ポジション、アプローチショットや1stボレーのプレイスメントといった、スタコのネットプレーの絶妙さからくるものだったように思います。

どのセットもどちらに転んでもおかしくない展開でした。第2セット以降はフェデラーにもブレイクのチャンスはありました。しかし、フェデラーがスタコからブレイクに成功したのは第4セット、1ブレイクダウンとなった第4ゲームのみでした。

スタコからすると、セットカウント2-1として、第4セットで早々に1ブレイクアップ、いよいよ勝利が見えてきたというところでブレイクバックされてイーブンに戻されたわけですが……結果論ではありますが、すぐにブレイクが帳消しになったことがむしろよかったのかもしれません。

もし、あのままSFMに近づいて、そこでブレイクバックされていたら、ズルズルと第4セットのTBも失ってしまっていたかもしれません。早々にブレイクバックされたことで、(その後何度もブレイクのピンチを迎えたものの)もう一度気持ちを強く持ち、キープし続ければチャンスが必ず来ると強く信じてピンチを切り抜けることができたのではないか、と。ええ、結果論です。

フェデラーは決して悪いプレーをしたわけではありませんでした。いつもよりも勝負強さがなかったとは言えるかもしれませんが、2回戦という序盤戦で、最高のプレーを続ける相手にギアを上げるのは難しかったのかもしれません。

フェデラーという芝の王者がWBで2回戦敗退。ショッキングな出来事がまさか今年の、しかもWBで起こるとは思いませんでした。心の準備ができていなかったと言いましょうか。私はフェデラーのファンではないものの、そしてスタコのプレーに魅了されながらも、やはり衝撃的な出来事でしたし、棄権者続出もあいまって、沈んだ気持ちになりました。

しかし、一夜明け、少し考え方が変わってきました。

確かに2回戦という予想もしないラウンドでフェデラーは敗退しました。GSタイトルをもうひとつ加えるならばここWBであろうと言われていましたし、ナダルが初戦敗退したことにより、SFはフェデラーとマレーの一騎打ちになるであろうと、実際、私も簡単に考えていました。しかし、そう思うのも、(なかなかツアー優勝ができなくなってきている現実はあるものの)フェデラーがこれまで(早いラウンドで)負けなさすぎた裏返しであり、まだ第一線で戦える選手であるからこそなんだろうな、と。

かつてサンプラスのファンであった自分から見れば、フェデラーはまだまだ強い。確かに衰えは隠せないとはいえ、負けてもサンプラスの晩年のような悲壮感はまったくありません(少なくとも私にとっては)。トップ50、トップ30に入ってくるような選手はみな、才能のある選手であり、そんな選手が最高のプレーをすれば、負けることだってあるでしょう。

さあ、まだWBは大会4日目、2回戦の途中です。

男子シングルスでWB優勝経験者はジョコビッチただひとり、女子シングルスはセリーナとクビトバの2人のみ。ここから波乱が続くのか、それとも、そんな雰囲気を残ったシード勢が一蹴するのか、マレーの悲願の優勝はあるのか、はたまた、別の新しいチャンピオンが生まれるのか。

こういう波乱は毎大会起こるわけではありませんから、むしろ、今大会がどういう結末を迎えるのか、興味深く見守っていこうではありませんか。


One thought on “【WB2013】大波乱の大会3日目

  1. BT_BOMBER on

    超絶今更ながらこちらにコメントを。

    棄権・リタイア組は確認してませんが、ここに挙がってる選手を下してQFまで勝ち上がれたのは男子のベルダスコのみですかね。
    シードダウンを演じた選手がそのまま勢いに乗って勝ち上がる展開を期待したのですが、なかなかうまくはいきませんね。
    後ろのラウンドではありますが、セレナに勝ったリシキがきっちり決勝まで行ってくれたので、ここは納得しておきます。

    ナダルは後半脚が動いてなかったのは確かで、手打ちくさいミスも目立ちました。
    ひょっとして芝の滑りやすさと膝の不安でフットワークの負担が重くなったのかな、という気はしました。
    ただ、そうだとしても試合は十分競ったわけで、勝ち切ったダルシスのキレっぷりは見事でした。

    フェデラーの試合は実はきちんと観てないのですが、、、一応ファンの端くれですが「もういいんじゃないですかね」とは思います。
    GSで36大会連続QFって丸っと9年ですからね。。。
    年齢を考えると、むしろ若い世代に彼を追い落とせる選手がなかなか出てこないことの方が今後のテニス界的に心配です。
    本人はリオまで続けるつもりらしいので、ドロー運とコンディションが噛み合えばまだGS決勝に出てこれる可能性はあるってところでしょうか。
    ポジション的にはサンプラスより2004~2005年頃のアガシに近いのかなと思います。

    何年か前の雑誌にラファとロジャーで「2大Rの時代」という話が出てましたが、この2人がTOP3から陥落しているのは感慨深いものがありますね。
    あとは90年代生まれの選手たちが早く上がってきてくれるとうれしいのですが。。。

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